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SDA賞受賞者にお話をうかがいました。
by sda-interview
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「世界の終わりから考える未来のこと」-後編
情報を重ねると見えてくる 

b0246116_11575219.jpgこちらは「リスクマップ」という題材で、
「世界って、どこが安全なんだろう?」みたいな話がありまして。
いろいろなリスクを透明のアクリル板に
落としてみたらどうかということになったのですね。
それを重ねることでどこが安全かわかるような仕組みになっています。(写真下)

例えば一番下にこのような世界地図が入っています。
この上に情報をいろいろ落としていきます。
例えば地震を落とすとこのような形になって、
日本の周辺はかなり地震が多いことが一目でわかります。
このリスクマップは上からリスクを重ねていけるので、
その上に火山のプロットを落とすと、このような形になります。
火山と地震が連動していることを読み解くことができます。

次にブルーの線があると思いますが、
この線は津波の危険性を表現していて、
一番色が濃いところが一番津波が多いところです。
これを見ると、日本は地震も多くて火山も多くて
津波が多いというのが視覚的にすぐにわかるかと思います。

一番最後に黄色の点を落とします。
これは何かというと原子力発電所をプロットしてしていて、
これを見てみんなでびっくりしたのですが、
日本以外の国はリスクのないところに原子力発電所があるのですね。
なのですが、日本だけが高リスクなところに原子力発電所は固まっている。

こういったことを、子どもたちがいろいろな組み合わせでやっていって、
それをコンピュータとかでなくて、
アクリル板で積み木のように遊んでいく中で
体感的に学んでいけるような設計になっています。
面白かったのが、全部で20ぐらいのリスクがあるのですけれども、
20枚重ねると世界は真っ黒になります。
唯一残るのが南極大陸ということで、
南極が実は一番安全だったということが、
この地図を重ねるとわかるような仕組みになっています。
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自分で読み取った情報でないと頭に定着しない

そんなわかりやすく体感できる地図がありつつ、
例えば「余暇に何をしていますか?」という質問があって、
それに対する円グラフはこんな分かりにくい表現にしています。
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こういったものも幾つか登場させていて、
私個人的には「わかりやすさ」の危険性みたいなものも感じていて、
情報ってそもそも見ないと始まらないのですね。
わかりにくくても、興味があったら見るのではないかと普段から思っていて、
ここでは「わかりやすさ」よりも
「好奇心を刺激する事」を重要視しています。
途中から未来館の方には
「実は、わからなくしたいと思っています」と話をしていて、
結局は自分で読み取った情報でないと
頭には定着しないのではないかと思っていて、
自分で考えた事実でないと、自分で読み取った事実でないと、
その人には伝わらないので、興味をわかせる、
好奇心を煽ることを一番優先順位の高い項目として組み立てました。

これも結構おもしろい情報ですが、
動物園にいるゾウの寿命は16.9年です。
野生全体でカウントすると、ゾウの寿命は35.9年ですが、
実は、この35.9年というのは人がゾウを殺しているからなのですね。
人がゾウを殺さなければ、実はゾウは56年生きるというデータがあって、
それを見ていただくのに、
下にイラストレーションと模型みたいなものを置きながら、
体感的に何かわかっていただくような仕組みをつくっています。
とにかく好奇心、まず見たくなるのが先で、
その後に情報がくっついてるようなことが重要ではないかと思っていました。
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「残された時間で何をしますか?」というのを、
こうやって付箋に貼って書いてもらったりとか、
あと、「終わらないって、どういうことなんだろう?」を
考えてもらうきっかけとして、「終わらないガム」を作りました。
「ネバーエンド」という名称で本気でパッケージデザインを作って、
実はこれはバーコードまで全部つくってあるのですけれども、
実際お店に並べても恥ずかしくないようなレベルまで勝手に作ったりし、
視覚化することで「終わり」というすごく概念的な
哲学的なものをわかりやすく、
それって、いろいろな捉え方があっていいと思うのですけれども、
その材料をひとうひとつ丁寧に作っていったような展覧会です。
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伝えたかったのは「多様性」
未来館の方がよく話していたのが、
「終わり」というものすごく曖昧なものをみんなで考えていく中で、
実際には、その捉え方の多様性に気づいてほしいということでした。

日本は「答えが一つだ」という社会に今なってきていて、
少し窮屈になっているのではないかと思うのですが、
みんなで言っていたのは「多様性」、
いろいろな答えがあるんだというのを可視化したい。
それを導く材料のために「終わり」というテーマを
使っているということでした。

このリンゴの木はそれを体現していて、
「リンゴ」というときに、アップルコンピュータと書く人もいれば、
ビートルズと書く人もいれば、アダムとイブと書く人もいれば、
いろいろな答えが出てくるのですね。
それがリンゴ型の付箋に貼ってあって、
リンゴの木になっていることで、
みんなの答えを見ることができて、
「ああ、多様性って、こういうことなんだね」というのが視覚化されていて、
この木は全体のシンボルとしても機能していました。
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結局、「終わり」と言っても、終わらないのですね。
そういったことに最後にはなるのですが、
これは地球ができた時からの年表を5つのタームに割って作ってある、
かなりぐちゃぐちゃな世界年表ですけれども、
言いたいのは「結局終わらないよね」ということとか、
逆に、国とかは栄枯盛衰で、いろいろな国が、
できては滅びを繰り返したりしているのですが、
そうは言っても時間は流れているというようなことを、
この年表を通しても伝えることができるのではという目的で作っています。
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これが「世界の終わりのものがたり」という企画展の全貌で、
この展覧会では、答えは何も用意されていなくて、
「自分で考えてください」ということになっているのですが、
最後に象徴的なアクリルの三角錐のオブジェがありまして、
「なにがあっても世界も人生も続いていく」
というメッセージでこの企画展は閉じられます。
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何度も出てきましたが、伝えたかったのは「多様性」で、
それにうまくツイッターみたいなものが絡んで
企画展の外側にまで質問が飛び出すことになって、
最終的にはこのようにSDA大賞まで頂いてしまって、
個人的にはすごい良い展覧会、企画展、科学展だったと思っています。

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# by sda-interview | 2013-03-19 22:41